屋根の工事を検討されている方の中には、カバー工法という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

今回の記事では、その工法の魅力や欠点、使用される屋根材について解説します。
工法についての知識があると工事を依頼する際にも安心ですので、ぜひ最後まで読んでみてください。

□屋根カバー工法とは?

カバー工法とは、これまで使用していた屋根の上に新しい屋根を重ねる工法のことを指します。

施工方法は、以下の通りです。

まず、屋根の汚れやホコリを取り除きます。
その後、ルーフィングが接着しやすくなるように高圧洗浄で水洗いを行います。
次に、棟板金などを撤去して、これまで使用していた屋根の上にルーフィングをはります。
最後に、新しい屋根材を施工したら工事が完了します。

屋根を新しくする方法としては、葺き替え工事というものも存在します。
これは、屋根を完全に新しいものに葺き替える工事を指します。

こちらの工法が向いているのは、以下のようなケースです。

まずは、一度カバー工法を行っている場合です。
この場合、追加で施工することはできないので気をつけましょう。

次に、瓦屋根を使っている場合です。
重い屋根を使っている場合には、屋根材を軽いものにすることによって耐震性が高くなります。

しかし、重たい瓦屋根の上に新しいものを重ねると、屋根がさらに重くなって耐震性が低くなります。
そのため、瓦屋根の場合は葺き替え工事が適しているでしょう。

ただし、その工事の際にも注意が必要です。
スレートや金属屋根などの軽い屋根から重たい屋根に葺き替える場合には、建物の構造に強度がなければ工事できないため注意してください。

新しくしたい屋根の状況によってどちらの工法が適しているかは異なるため、よく吟味した上で工法を選びましょう。

□屋根カバー工法のメリットとデメリット

ここからは、カバー工法の魅力と欠点を解説します。

*メリット

1つ目は、比較的低コストであることです。
カバー工法は葺き替え工事と違い既存の屋根を撤去する必要がないため、その分の費用がかかりません。

廃材は棟板金や貫板などのみであるため、工期を短縮できる上に処分費用を抑えられるのです。

2つ目は、ストレスが少ないことです。
屋根工事をしている期間は、工事車両が出入りしたり大きな音が発生したりと、多少ストレスがある生活になってしまいます。
その点においてカバー工法は工期が短いため、通常の工事に比べてストレスを軽減できます。

また、工期が短く済むということは、近隣住民への迷惑を減らすことにもつながります。
近隣トラブルが発生する可能性を減らせるため、安心して工事を依頼できるでしょう。

3つ目は、防音性や断熱性が高まることです。
この工法では古い屋根材と新しい屋根材が重なっているため、屋根が二重になります。
そのため、屋根に当たる雨音や屋根からの冷気などが室内に伝わりにくくなり、防音性や断熱性が高まるのです。

4つ目は、アスベスが飛散するリスクが低いことです。
アスベストを含んでいる屋根材を撤去する場合には、そのアスベストが飛散するリスクが高くなります。
カバー工法は解体しないため、アスベストが飛散するリスクは低くなります。

ただし、アスベストの問題を先送りにするのは良くないため、施工会社ときちんと相談することが大切です。

*デメリット

1つ目は、屋根が重くなることです。
既存の屋根の上に新しい屋根を重ねるため、屋根が重くなります。
屋根が重くなると家の重心が高くなって、地震の際の揺れが大きくなるため、耐震性の面で不安が残ります。

耐震性を確保するためには、軽い金属でできた屋根材を選ぶことがおすすめです。

2つ目は、工事できない場合もあることです。
既存の屋根の状況によっては、カバー工法を選択できないこともあります。

例えば、屋根材の劣化が進行している場合には、その上から新たな屋根材を重ねることが難しくなります。
そのため、屋根工事を検討している方は事前に下地の劣化具合を点検することが大切です。

□カバー工事で使用される屋根材について

カバー工法では、多くの場合ガルバリウム鋼板でできている屋根材が使用されます。
この素材は、アルミニウム55パーセント、亜鉛43パーセント、シリコン2パーセントから形成されています。

ガルバリウム鋼板は、防音性の低さや断熱性の低さがデメリットとなっています。

しかし、屋根を重ねることになるため、通常の屋根に比べると防音性や断熱性の面で優れているのです。
また、耐火性や耐久性の高さには優れており、リサイクルできるという特徴もあります。

□まとめ

今回は、カバー工法の魅力や欠点、使用される屋根材について解説しました。
カバー工法はコストや断熱性、防音性などの面で魅力的な工事です。

ただし、屋根の重さによって耐震性が低くなったり、カバー工法を使用できない場合があったりする場合がある点には注意しましょう。